マンションのリフォーム・リノベーション、新築戸建はハンズデザイン一級建築士事務所|千葉県 船橋市 東京

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炊飯器を断捨離!

1年くらい前から土鍋でご飯を炊くようになりました。

最初は続くかなー
と思いながらはじめた土鍋生活ですが、
土鍋で炊くご飯がことのほか美味しく、
炊飯器に戻れなくなりました。
土鍋ご飯
30分お米を水に浸し、10分火にかけ、20分蒸らしたら出来上がり!
土鍋は米粒をきれいにとって食洗機へ。(ほんとうはいけないので、自己判断で)
思ったより簡単で美味しく、火加減の調整次第で、おこげのあるご飯もできます。
朝ごはんが一段と楽しみなりました。

わざわざ炊飯器のために設計したスライドのオープン棚にいつの間にか大小の土鍋が並び、炊飯器の居場所はありません。。。
土鍋大小
このスライドのオープン棚は冷蔵庫とキッチンの間にあるので、
炊飯器を使う時にキッチン動線をさえぎり、実はとっても不評で今となってはなくてもよかった・・・と思います。

今年の断捨離は炊飯器に決定です!

リノベーションの間取りから考えること

毎回、工事が終わると手描きの間取り図をつくり、プランのポイントをまとめる作業をします。どんなことを考えてきたかを客観的に見るいい機会になっています。

Tさんの家:全て開くこと、つなぐことを最初に確認しました。
akiyama
リノベーションの場合には元々の間取りや暮らし方の存在があります。全く違う住まい、暮らしが同じ場所に出現する「変化」には驚きがあります。

しかし、ビフォーからアフターへと間取りが大きく変わったということ以上に、探してもどこにもないユニークな住まいと暮らしが次々に生まれてきた事実にもっと驚かされます。

場所を考える時に、閉じるか開くか、または切るか繋ぐか、その判断の繰り返しで住まいと暮らしのカタチは大きく変わっていきます。重要な判断です。

その判断の中心には住まい手がいます。私たちが質問をして、住まい手であるお客様が考えて判断して答える、その繰り返しです。

例えば、「寝室は閉じますか、開きますか?」そんな具合です。

この何気ないような問題について、結論を急がずに考えます。正解はないです。私たちも正直に考えをお伝えし、参考として様々な可能性を示しながら一緒に考えます。

Oさんの家:全て開いてワンルームに。北側の共用廊下に対しては閉じることにしました。
Oさんの家間取り
当事者のお客様と私たちにとっては、こうした判断のもとに徐々に出来上がってくる住まいのカタチは必然的なものです。しかし、客観的に見た時には、どうしてこんな変化が可能だったのかという驚きがあります。
Iさんの家:浴室を開くことを決めたことでプランは大きく変わりました。
Iさんの家間取り
私たちとしては、目新しい住まいを考えてやろうとか野心的な発想は持っていないつもりです。ただ、先入観と既成概念を排除し、常に新鮮なイメージでいようと心がけています。

その中で、探してもどこにもないような住まいが現れてくるというのは、住まい手の存在がとてもとても大きいのです。判断の根拠は、これまで生きてきた中で現れた気持ちなのか、海外での暮らしやホテルや旅館など非日常の中で得た経験なのか、それは人それぞれだと思いますが、千差万別です。

Sさんの家:寝室を閉じることで、他の部分を開放的にしています。
Sさんの家間取り

住まい手が、既成概念にとらわれずに「私たちはこうする」と判断してくださるところから新しい暮らしの風景が生まれていきます。

新築マンションという住まいの形の一つの時代が終わろうとしているのに、私たちの家のまわりは、今さらのマンションの建設ラッシュになっています。何百世帯もの住まいが建設中で、そのポスターや広告チラシを毎日のように目にしています。そこにはあまり誰も期待していない、版を押したような住まいの間取りが印刷されています。

同じものを効率良く大量に作って売るというやり方です。リノベーションでも同じ価値観で行えば、同じように効率良くたくさん作るということが起こるでしょう。すでに、そのような事例は見受けられます。

新築マンションの時に存在したニーズがリノベーションに置き換わったということです。「簡単に」便利で綺麗な住まいを手に入れたいというニーズです。効率を重視する売り手側の都合にも合致して今後増えていきそうです。

私はそれを少し心配しています。リノベーションの意義が失われていくように映ります。

私たちハンズデザインは住まい手が中心にいる住まいづくりを続けていきたいと思います。簡単にではなく丁寧に、必然的でありながらユニークな住まいをご提案していきたいと思います。

床のこと-第1回

こんにちは。
マンションリノベーションの住まいづくりについて、特に床のことを数回に分けてお伝えしようと思います。

第1回は、床の作り方についてお話しします。床の素材を検討するときに、しっかりと理解しておく必要があります。簡単に言うと「遮音」と「段差」によって床の作り方が決まるというお話です。

マンションの場合、下の階への騒音を防止するために、管理規約等によって床材料等の遮音等級が定められています。定められていなくてもトラブルの原因になりますので、遮音には気を配る必要があります。中古マンションを探している場合には、規約で定められていないマンションは避けたほうがいいです。

遮音する方法は3通りあります。
A. コンクリートスラブに直接、直貼用合板フローリングなどにする。
B. 遮音マットを施工して、無垢フローリングなどにする。
C. 乾式二重床・置き床を施工して、無垢フローリングなどにする。
どの方法も遮音試験データがあるものを使います。

ちなみに下の写真の右が直貼用合板フローリング、左が無垢フローリングです。
フローリング比較
これが遮音マットの施工風景。
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そして乾式二重床・置き床の施工写真です。
置床工事詳細
置床工事-1

また、遮音対策以上に床の作り方に影響するのが段差です。

マンションを解体してスケルトンにすると、コンクリートスラブはガタガタしていたり、大きな段差があったりします。
スケルトン
どんなところに段差があるかというと、ひとつがフローリング、畳、クッションフロアなど元の床の仕上げが違う部分です。なぜ段差があるかというと、素材の厚みが違うものを並べて平らに仕上げているからです。フローリングは12~15mm、クッションフロアが2.5~3mm、畳は40~60mm程度です。もうひとつが、水まわりの配管をするスペースを確保するための、100~200mm程度のもっと大きな段差です。

たとえ3mmでも段差があれば上記Bの遮音マットでの施工もAの直貼用合板フローリングの施工もできません。また、古いマンションでスラブが大きく波打っている時も、遮音マットによる施工はできません。平らにする方法が全くないわけではないですが、手間とリスクが高いためハンズデザインでは採用していません。

こうした理由から考えると条件によって大雑把に次のような選択肢があることになります。

間取りを変更せず、無垢フローリングにする場合→BまたはC
間取りを大きく変更する場合→C
元が乾式二重床・置き床の場合→C
元が直貼用合板フローリングで間取りも仕上げも変更しない場合→A

ハンズデザインは、無垢フローリングを使いますのでBまたはCで施工します。間取り変更を行うことがほとんどですので、Cの乾式二重床・置き床の場合が多いです。Cの方法なら、無垢フローリンングの他にタイルや石を検討することもできます。

Cの乾式二重床・置き床にもデメリットはあります。少なくともスラブから84mm程度の仕上厚さが必要になります。元が乾式二重床・置き床の場合はあまりデメリットにならないです。元がコンクリートスラブに直接、直貼用合板フローリングだった場合、床から天井までの高さが8cm以上低くなります。
床を上げることで天井が低くなってしまう場合、天井を取って高さを確保します。

ちなみに、元が直貼用合板フローリングかどうかは、歩いた時にフニャフニャ、フカフカした感覚になる床がそうです。

最後にリノベーション前の住まいに床暖房がある場合について、ご質問が多いのでお話したいと思います。ほとんどのマンションで採用されているTESなどのガス温水式の床暖房についてです。

ガス温水式床暖房は、給湯器と一体になっている熱源機とそれとチューブで結ばれている温水パネルによってできています。熱源機は、古くなければ再利用が可能ですが、温水パネルは再利用で行きません。フローリング材とボンドで接着されていて、非常に壊れやすい構造のパネルですので、床の解体時にどうしても壊れてしまいます。

リノベーション後も床暖房を採用する場合は、新規に施工することになります。これからご説明する無垢フローリングやフロアタイル、タイル、石などでも対応しているものがあるので床暖房を採用できます。もちろん、熱源機をそのままにして、床暖房を採用しないこともできます。マンションは暖かく、素材の選択肢が増える事や大きなコスト減になるメリットがあるため、不採用になるケースも多いです。

今回はちょっと小難しいお話になってしまいました。実はいつも説明に苦戦しています。床は面積が大きいから仕上げを選ぶ時に一番大切にしています。また、歩いた時の感覚や段差の有無、天井までの高さも重要な話題です。

千葉県船橋市Oさんの家が着工しました!

こんにちは。
11月も中旬にさしかかり、
2016年もそろそろ終わりが見えてきましたね。
Material
Oさんは2015年の12月ごろ、私たちの家へお越しいただき、
30年間住んだ89平米のマンションリノベーションのご相談を受けました。
新築の時に購入し一度も手を入れたことがなく、息子さんが巣立たれたあと、細切れに分かれている部屋が不要なこと。
これから長い時間を過ごす住まいを今までの不満を全て解消し、快適な住まいにしたいこと。
一つの家に長く住んだからこそ、剥がれてしまった壁紙の修復が素人では難しいことがわかり、
壁も床も長く使える素材がいいことなど。

私達の家に来るまで、いくつかの会社でご相談されてきたそうですが、
本物の素材感でつくる空間やシンプルなデザインに共感を持っていただき、ご相談がスタートしました!
慣れ親しんで気に入っている水周りの動線は少しの変更にとどめ、
89平米のマンションをほぼワンルームのように使う贅沢な間取りです。

フローリングにはシベリア産のウォールナット、
家具や建具は日本産のくるみを使い、タイルなどはできるだけ主張しないシンプルな色を選びながら、
形状や素材感で存在感のあるものを組み合わせバランスを取っています。

ウォールナットという材料はちょっとお値段のいい材料なので、なかなか私たちからはご提案しづらいのですが、
ご夫婦の直感で選んでいただき、それに合わせてまわりの材料を決めていきました。

12月末に今年最後の見学会を行います。
日程が決まり次第、近日中にブログでご案内します!

マンションで『風のとおり道』を考える

今年の夏は、暑い日もありましたが、
終わってみると梅雨が長かったせいかあっという間だった気がします。

毎年夏になると、私たちの家では『エアコン問題』が浮上します。

『私たちの家』にはエアコンがありません。
船橋という海に近い土地柄かもしれませんが、風がよく吹き、
家の中は間仕切る壁がないので、南北に風の通り道が充分あります。

日中は仕事に出てしまうので、真夏でも朝晩の在宅時はエアコンがなくても、風が吹いていれば問題ありません。
しかし、ちょうどお盆休み入る前後数週間、一番暑い季節のお休みが大問題になります。
私たちの暮らしの場合、お盆休みをゆっくりと家で過ごすためだけにエアコンが必要となります。
かっこ悪いエアコンを買うぐらいなら海外逃亡も考えますが、今年から家族に加わったQ太郎(コキンメフクロウ生後3か月)のために我慢しました(笑)。

私たちがかたくなにエアコンをつけない理由は、あんまり心地良くないことやデザインで納得いくものが見つからなく、
配管ダクトが部屋の中に露出するのがどうしても受け入れられないからです。

配管の露出は壁の中に隠蔽して見えなくする方法があり、最初から計画すればできます。
私たちの家はリビングだけは隠蔽配管の準備はできていますので、
あとはかっこ良く、空間に馴染むエアコンが出ないものかと、首を長くして待っています。

前置きが長くなりましたが、マンションというコンクートの箱は風の抜け道が限られています。
当たり前ですが、コンクリートの躯体に新しく窓をつくることはできません。
風が通りやすい間取り、工夫がどうしたらできるのか。
悩ましいポイントであり、いつもなんとかしたいと思って設計に取り組みます。

そこでいくつか挑戦してきた、または挑戦したいことを書いてみようと思います。

⬛︎ 風の抜け道を玄関も含めて考える。
この方法は不動前のTさんのお宅でご提案しました。
不要な時には存在が見えなくなるように引込戸になっています。
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風は入るところ、出るところがないと流れません。
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この間取りの場合は、もともと南面にあるバルコニー側の一列にしか窓がありません。
このままでは風はなかなか動きません。でも、もう一つの開口部、玄関がありました。
これを利用しない手はありません。

オートロックのないマンションではあまりオススメできない方法ですが、
幸運にも広々とした中廊下型で、玄関ドアを開放していても周りにご迷惑をかけないつくりでした。

中廊下から中が見えないように工夫をした網戸が風を通し、内側から簡易的に施錠できるように考えています。

⬛︎ 空気が滞留する場所を極力減らす。

私たちの家づくりの考え方に『天井までの壁をできるだけ減らす』というものがあります。
壁が天井までいかないことで、視覚的な広がりを感じる他に、空気のよどむ場所を減らせるメリットもあると思っています。
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⬛︎ 部屋と部屋を空気的につなげる工夫をする。

間取りを考える時に、行き止まりのない動線を考えます。
動線が行きどまらないということは、風にも行き止まりがありません。
風の動きを遮断する扉を作らない間取り。

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※Iさんのお宅は玄関ドアを開けると風が通り過ぎるということもあり、玄関での通風はご提案していません。

引戸を開け放てば、全部が空気的につながる間取り計画をすることが大切になります。
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家族が多い場合、時として、個室をつくる必要があります。
マンションでつくる個室は多くの場合、外に面する窓は1か所しかとれません。
開口が一つだと、窓を開けても個室の中では風が動きません。

これを解決する方法の一つ目は、個室の入り口を引戸にすること。

しかし引戸を開けたままでは夜の就寝時などプライバシーが保てませんので、
その場合は引戸に可動ルーバーをつけて、風を調整できるようにすること。
(この方法は最近考えていることで、まだ事例がありません。積極的にやってみたい方は、ご相談時の時にご要望として教えて下さい!)

エアコンのない生活をしてみると、いろんな種類の風に気がつきます。
北から吹く風は窓を開けても涼しいけれど、南から吹く風は熱風のようで、とても窓を開ける気になりません。
そんな時はエアコンがあるといいのになーとひそかに思います。

風の吹き方は、土地柄に影響されるものは少なからずあると思いますが、
多くのマンションで解体して間仕切る壁がなくなると、思っていたより風が通ることに気がつきます。

工夫次第で、季節のいい時は窓を開けて風を感じ、
エアコンに頼る季節を最小限にできる生活ができるのが理想的だと思いませんか。