こんにちは。
先日完成見学会を行った北綾瀬Fさんの家の恒例ブログ見学会です!
ここで少しプランのおさらいを。
Fさんの家はもともと3LDK80平米の間取りでご家族4人暮らし。
子供達は高校生と小学校高学年となり、一人部屋が必要な年頃です。
旧3LDK→新3LDKへつくりかえるリノベーション計画です。
Before
After
同じ3LDKと部屋数は変わりませんが、開放的なキッチンで家事動線を使いやすくし、
広すぎた個室を全体のバランスの中でコンパクトに、玄関を4人家族用に広げ、
家族の収納がたっぷり入るクローゼットルームをあらたにつくりました。
玄関から入った風景。
見学会で『なぜ勾配天井にしたのですか?』という質問をたくさんの方から受けました。
最初の計画では、実はルーバー天井の玄関になる予定だったのです。
現場がはじまり、もともとルーバー天井を希望していたキッチンで懸念していた障害がなくなり、
採用できることがわかったので、さて、玄関はどうしよう?ということになりました。
現場に立って感じたのは北側の明かりをどうにか玄関に取り入れられないかということです。
広々とした玄関でただただ天井が高いというのも少し味気ない空間になりそうでした。
高い天井からは光が入り、ガラス引戸上部にある大きな梁に向かって天井を低くする勾配天井がいいのではないか。
現場で自由に発想を広げることができたことで、新しいアイディアが生まれました。
想像していた以上に勾配天井の高窓から光が漏れ、とても気持ちの良い玄関空間になりました。
仕上げはツガという材料の羽目板で、濃淡の少ないシンプルな樹種です。
ちょっとラフな楢材(なら)のフローリングとの相性がとてもいい感じです。
玄関は家の顔でもありますが、コートや帽子など雑多になりやすい場所でもあります。
有孔ボードでフックがつけられる壁をつくり、その横にはたっぷりした奥行きのある収納があるので大きなもの、例えば生協の箱などが入れられます。
すっきりとした印象のタイルは名古屋モザイクさんの600角タイルです。
反対側には靴収納と子供室への入り口があります。
Fさんの家はもともと壁に沿ってあったユニットバスの向きを変え、壁から離すことで家事動線を生み出しています。
図面だけ見るとユニットバスが部屋の中心にあるレイアウトはちょっと不思議な感じがします。
玄関からリビング側へ進む。
グレーのアクセントの壁が、ユニットバスを囲っている壁です。
カラーワークスさんの塗料でソフトスウェード仕上げです。
1回目はローラーで塗り、2回目に刷毛で荒らしながら塗ることで、刷毛の模様ができ少し立体感が生まれます。
とてもマットな風合いに仕上がり木の空間にとてもよく合うので、最近よく提案します。
キッチンからユニットバスを眺める。
開閉式の小窓は、採光と通風用です。
キッチンと洗面所がつながり、裏動線ができることで、見えない収納場所がたくさんできました。
食品のストックを置く場所、ダイソンのスティック式掃除機や洗面近くはタオル・下着類を収納する場所。
よく使うものを収納する場所は開けっ放しにできるというメリットは大きいです。
リビングの隣にある主寝室は、寝るだけのスペースと割り切りダブルベッドが置ける最小限のスペースです。
使っていない時は、もったいないので小窓を開け広がりを感じられるように。
壁が天井までいっていないのも同じ考えで視覚的な広がりをもたせることと、
夏はリビングの空調で主寝室までまかないます。
トイレは扉で閉めてしまうと、他の空間とインテリアの印象をガラっと変えたり遊びを入れられる場所です。
Fさんはシックなグレーの壁紙に、鮮やかな赤いモザイクタイルを選びました。
カウンターはウォールナットの耳付き無垢材。便器もグレーを選んでかっこいいトイレ空間になりました。
リビングからダイニングキッチンを見る。
Fさんの家の天井ルーバーは米ツガという樹種です。
タモよりも少しオレンジっぽい優しい色合いになります。樹種はまわりの雰囲気によって使い分けます。
ダイニングテーブルはikeaの脚にシナ共芯合板を乗せて固定しているだけ。
本来は置くだけの商品ですが、子供がいる場合は危ないので、脚と天板を固定することをオススメします。
オープンキッチンは機能的であると同時にいろんな角度から見て美しいことが求められます。
大谷石をアクセントに、タモの突板に5mmくらいの目地を十字にとったシンプルなデザインとしました。
グレーのデザインタイルなど、周りに主張する要素がある場合には、
デザインの引き算でキッチンはシンプルなほうがいい場合もあります。
オープンキッチンには食洗機が必須です。
いつものASKO食洗機が大きな扉におさまっています。
共働きが多い今の時代、食洗機は洗濯機と同じような感覚で家庭の中に導入してもらいたいと思います。
これもお馴染みの洗剤ポケット。
キッチンでいつも苦労するのが、ゴミ箱問題。
生ゴミ、ビン・カン・ペットボトルなど結構場所を取るんです。
使いやすく、見た目美しくどこに置くか。
今回は目立つ場所にあったのでこんな提案になりました。
既製品のフレーム(分別ダストワゴンtower)にまわりの家具と同じタモの扉を家具屋さんにつくってもらいました。
スーパーのビニール袋が3つ引っ掛けることができ、下には車輪が付い動きます。
上の写真が、ビン・カン・ペットボトル用。
下は45Lのゴミ袋が使用できる大きさです。
ゴミ箱の上がオープンになっているので、捨てる時はワゴンを動かす必要がなく、ごみを処理するときに前に引き出して使います。
炊飯器を使うときだけ引出して使うトレーです。
Fさんの洗面スペースはヘリンボーンの少しブルーが入ったタイルがアクセント。平田タイルさんの輸入タイルです。
最後に子供室と家族のクローゼットへ行ってみましょう。
玄関から入った真正面のドアを開けたところ。
家族全員が使うクローゼットです。
各個室には制服やコートなど日常的に使うものが少し置ける程度で、メインの収納は一箇所で考え、
そうすることで洗濯物を各部屋に配る負担を減らしてくれます。
子供室への扉はホタテ塗装の壁に馴染むように、白をベースに木のアクセント取手にしました。
隣の下駄箱が全てタモ材で引き戸も同じ素材にすると木の面積が多すぎるので、白い素材でバランスを調整します。
高校生になるお姉ちゃんの部屋。
子供部屋の床材はパイン材でコスト調整、明るい子供部屋になりました。
小学生の男の子の部屋。
ぞうさんを数えていたら眠れなくなりそうですね(笑)
Fさんの家は、どこにいてもいろんな方向に視線が抜ける場所があります。
欄間ガラスから見える天井に板張りもちょっとした安らぎを感じさせてくれます。
お引き渡しして1ヶ月ほど経った頃に、Fさん宅を訪れる機会がありました。
快適なのでお休みの日もあまり外出をしなくなったとおっしゃっていました。
自分たちのために自由につくった住まいで過ごす時間は、どこに行っても手に入れることのできない、
心地よく贅沢な時間の過ごし方だと私も日々実感しています。
少し落ち着いたら、また撮影に伺わせてくださいね!