こんにちは。
Iさんの家。浦安のマンションリノベーションで見学会をさせて頂き、お引渡したのは今年のお正月のことです。あっという間にもう3月が終わろうとしています。本当に時の流れを早く感じます。世の中もなんだか騒がしい年のスタートでした。
先日、心待ちにしていたご訪問がようやく実現して、色々なお話を聞き、お暮らしぶりを撮影させて頂くことができましたので、みなさんにもご報告させて頂きます。
昨年の春、Iさんは中古マンションを購入され、入居前のリノベーションをご相談下さいました。そのマンションは世帯数が少なめながら、アプローチや共有部がきれいに保たれ、管理会社の私たちへの応対も丁寧で好感が持てました。こういうことは中古マンション選びでは、意外と大事なことだと思います。
3階の住まいのリビングの窓は、隣にあるこの地区の集会所の庭のケヤキの大木が手の届きそうな近さまで茂っています。周囲は低層の建物が多く、椅子に座ると建物は目に入らず、ただ空と緑の借景に囲まれます。こんな偶然のような立地条件が大きなアドバンテージを生むことがあります。駅からの距離や利便性、地区の知名度などでは隣のマンションと変わらなくても居住性の観点から考えると差は歴然です。写真は真冬だったので葉が落ちていますが、春夏は緑が美しく、秋には紅葉します。
数社の提案コンペの中から選んで頂いて、このプロジェクトはスタートしました。私たちの提案も気に入って下さったのだと思いますが、なにより、私たちの家に来て頂いて、ハンズデザインがつくる住まいの雰囲気や私たちの考え方に共感して下さったことが大きかったのではないかと思います。
下はリノベーション前の内部の写真と着工前のスケッチパースです。
IさんのLDKはオープンなワンルームの中にアイランドキッチンを中心にして、様々な場所が点在するように意図されています。家族それぞれが想い想いに色々なことをして過ごしながらも、ひとつの空間の中で関係を保っているような時間をイメージしています。料理をしている人と、ギターを弾いている人と、ネットサーフィンをしている人が時々会話を交わすような時間の流れです。
キッチン、収納家具、ドアなど全てハンズデザインがデザインしてオーダーメイドしたものです。大きなワンルームLDKが調和するように考えています。特にキッチンは存在が浮いてしまったり、生活感が出てしまわないように検討を重ねました。三層構造の3ステップシンク(松岡製作所)やASKOの大きな食洗機、引出し収納など包容力のある設備が室内の快適さを支えています。
マンションの玄関は、位置的にどうしても暗くなり、空気が淀んだ雰囲気になってしまいがちです。それでも丁寧にデザインし、自然の光を取り込み、視線を通す仕掛けをつくることで印象は良くなります。
壁と天井の間にある開口を欄間と言います。音や空調を区別したいときはガラスを入れます。Iさんの家では玄関ホールとリビングと書斎がガラス入りの欄間でつながっています。光と影で家族の気配や時間の変化が伝わります。視界的に閉鎖的な場所を作らず、連続したひとつの住まいを感じることができます。
床のミャンマーチーク、建具のアルダー、引手のニヤトー、家具のマホガニー、壁の珪藻土(エコクィーン)と珪藻土クロスといくつかの色の水性ペンキ(RoomBloom)やチョークボードペイント(グリーンエレファント)、玄関とキッチンの床の磁器質タイル(ADVAN)、洗面台のガラスモザイク(名古屋モザイク)、キッチンカウンターのステンレスバイブレーション、欄間の透明ガラス、玄関ホールの大きな鏡…。Iさんのリノベーションは素材の種類や色の数が多様な、カラフルな住まいになりました。それぞれの素材はまだ新しく少し鮮やかすぎるぐらいでしたが、少しずつなじんでいくと思います。鮮やかな色の壁のペイントにはIさんが施工に参加して下さっています。将来的な塗り替えも楽しみです。
植物、絵画、ポスターフレームなど室内を彩るものを少し大きめのものにしたいという意向も当初から検討され、そのための空白を壁面や床面に計画しています。今回初めて見せて頂きましたが素敵なものばかりでうれしくなりました。
いつも元気に出迎えてくれる、今年から小学生になる息子くんの成長とともにこの住まいも進化していくことでしょう。暮らしを彩るのが上手なご夫婦ですので、私たちも学ぶことが多く変化が楽しみです。また少し時間をあけて是非ご訪問させて頂きたいと思っています。
Iさん、この度はお忙しい中、撮影のご協力頂いたのにアップルパイと赤ワインまでごちそうになってしまって、本当にありがとうございました。美味しかったです!