こんにちは。
これから住まいづくりを考えている方に是非もう一度読み直してもらいたい一冊があります。
人生がときめく片付けの魔法
サンマーク出版
2010/12/27
近藤麻理恵(著)
世界的に有名な本なので今更紹介ということもないと思いますが、意外とちゃんと読んだ人は少ないのではないでしょうか。僕も10年近く啓発本の棚に並び続けているこの本を目にしたり、内容を小耳に挟んだりしたものの、読んだことはありませんでした。しかしある理由でこの本を手に取ってちゃんと読むことにしました。
住まいというのは限られたスペースです。その中にリビング、キッチン、トイレ、浴室、収納など必要な場所がいくつかあって、その配分バランスを整えることになります。当然、何かが増えれば何かを減らすしかありません。
私たちが大切にしていることは、暮らしている人の生活の風景をしっかり把握することです。その方法の一つは、住む人のモノの所有のカタチを詳細にヒアリングし調査することです。例えば洋服の場合、脱いで洗濯して干して収納して着るまでの動作、方法、収納する量などを明確にするようにします。
「どのようにやっていますか?」
「それはどうしてですか?」
「ここにある数量で十分ですか?」
「ここにある中に不要なものはどのくらいありますか?」
このような会話を繰り返して、それぞれの住まいのバランスを探っていきます。
その中で、人によっては収納の話ばかりになってしまうことがあります。ほとんどのお住まいはゆとりがあるとは言えない広さです。その中で、居心地の良いスペースを作りつつ、たくさんのモノを効率よく使いやすく収納することを考えるのは難解なパズルのようなものです。もう少しモノを減らせないか、あるいはまだどこかに収納を作れるのではないかなど、収納の話ばかりになってしまうと、暮らし方やデザイン、素材、照明などの話題までが遠くて住まいづくりがなかなか深まりません。
反対に、お話しして短時間で、非常にスムーズに暮らしの風景を把握できる方もいます。物が少ないこともありますが、すでにご自身で「モノの持ち方」について検討と整理が終わっているので、私たちのような第三者にクリアに説明できるようになっているのです。さらに良いのは、そういった方々は新しい住まいでは「このようにしたい」という具体的なイメージまで持っていることが多いということです。
残念ながら前者の方と後者の方では住まいづくりの深度に差が出てしまうように感じます。私たちが住まいづくりでみなさんと関わりを持てる期間はそんなに長くありません。相談が始まってから、モノの所有のカタチを見直すのか、その前に済ませているか、その差は大きいと思うのです。
だから住まいづくりが始まる前段階に、自分の暮らしの中にあるモノを見直すきっかけになり、具体的に実行に移しやすい方法が何かないかと考えていた時に、この本に思い至ったという訳です。
この本には『まずは「捨てる」を終わらせる』、そしてその前に『理想の暮らしを考える』と書いてあります。これは住まいづくりに通じることだと思います。
具体的な方法として僕が大切だと感じた言葉は、ただ捨てるのではなく、『「一つひとつ手にとって、触ってみること」が重要です。』でした。作者は「ときめきを感じる」と表現していますが、どんな感情でそのモノを所有しているかは、眺めているだけでは感じることはできず、手に取って初めて感じるという感覚はその通りだなと思いました。
さすが世界中の人々から共感を得ているこの本の内容は本質的かつ具体的です。他にもたくさんもっと行動に移しやすく感覚的にわかりやすい内容が書いてあるので、まだ読んでいない人は是非読んでみてください。一度読んだことがある人は、きっと新しい住まいづくりの準備ができているはず?!