私たちの家には住まいづくりの相談で多くのご家族がお越しになります。その方々から「こういう間取りで寒くないですか?」というご質問を受けることがよくあります。私たちの家は72㎡のマンションで、リノベーションによってドアがなくて、部屋を仕切る壁も少ない、全体の空気がつながっているワンルームになっています。室内を暖房する時、できるだけ空間を狭くした方が良いという考えがあって、このような住まいを見たときに疑問に思われるのだろうと思います。
一つ言えることは、72㎡は温熱環境に関していえばこれ以上区切る必要はないほど十分に狭いということです。私たちの家では、南側のLDKはガスファンヒーター、北側の寝室にデロンギのマルチダイナミックヒーターを使っています。家中の温度が平均的でいつどこにいても快適です。朝、目を覚ましたらパジャマのまま起きて朝ごはんの準備ができます。休日ののんびりした時間には暖炉に火を灯します。炎を見て過ごす静かな時間は冬の楽しみの一つです。
デロンギのマルチダイナミックヒーターは音も風も炎もない暖房器具で、器具自体はそこまで熱くなりません。現代版のオイルヒーターのような雰囲気ですが、意外と早く部屋が暖まります。曜日ごとに詳細な時間設定や温度設定がスマートフォンで管理ができます。平日は起床前に暖房スタートし外出前にストップ、また帰宅前のに暖房スタート、就寝前にストップするようなプログラムにしています。購入前に少し心配していたデザインもそこまで存在感がなく、満足しています。
ガスファンヒーターはすぐに暖かくなり、空気が乾燥しないので好んで使っています。燃料を補給する必要がないことや、機器のサイズが小さいこと、効率が良くランニングコストが低いことなどのメリットもあります。朝はタイマーで起床前に暖房が始まるようにセットしています。
暖炉は、エコスマートファイアーというバイオエタノール暖炉です。静かで安定感のある炎で熱量が大きすぎないので使いやすいと思います。お手入れもほとんど必要ありません。マンションでも簡単に置くだけで設置ができる手軽さで、炎が近くにあるのはとても良いものです。
マンションという建築物は室内の温熱環境的にはとてもよくできています。また生活家電もエアコンやヒーター、床暖房などエネルギー効率、省エネルギーが昔に比べてかなり改善されました。窓まわりが結露する弱点も、二重窓にすることでほとんど改善されます。これらを組み合わせることでとても快適でコストパフォーマンスの良い住まいが実現できると思います。もちろん、間取りによる空気のつながりやすさによって冷暖房機器による効果の違いはありますが、壁とドアで閉じられたそれぞれの部屋の温熱環境をコントロールするより、住まい全体をまとめてコントロールした方がずっと快適で、エアコンやヒーターなどの設備機器の台数も少なくて済み、決して不経済ではないと考えています。
冷暖房の効率性ばかりを考えて住まいを細かく細分化しなくても、のびやかに連続した快適な温熱環境がつくれることを実感しています。何より住まいの中に暖かい場所や寒い場所があるのはあまり気持ちのいいことではありません。住まいを細分化すれば部分的な気温差が大きくなりどうしても快適ではない場所ができてしまいます。寒い冬でもお布団の中だけじゃなくて住まい全体が快適な方がいいですよね。
まだまだ寒い冬は続きます。体調管理に気をつけて健康第一で楽しい冬をお過ごしください。