社会に出て15年。様々な荒波に揉まれてきました。
その詳細はここでは控えさせて頂きますが、いろいろなタイプの建物や空間の設計を経験してきました。
住まいづくりの経験はまだ5年。毎日が精進です。
住まうところ、暮らすところである「家」。他の建築空間と異なる特徴のひとつは「人との距離」ではないかと思います。だから素材にはとことんこだわる必要があります。
壁に、寄りかかる、絵を飾る。
床に、あぐらをかく、寝転がる。
そのような行動があるのも住まいならではで、その素材の肌触り、吸湿、耐久性を意識します。
「4畳半の個室」のような小さな空間で長い時間を過ごすことも住宅の特徴で、心に働きかける、触れたときの音感、光の反射、香り、色あいまで考える必要があります。
本物とニセモノ。素材による住まいの違いは明らかなのですが、目に見える差がわかりにくいのでだまされてしまうのです。体感すれば絶対にわかるのですが…。
そう考え、私たちの家は体感の場としてみなさんに開放する予定で、現在工事中です。違いは最初に足を踏み入れた瞬間にわかると思いますが、良さはゆっくりくつろいだ頃に感じるものです。コーヒーを飲みながら…ぜひ。
ところで、我が家にはシマリスがいます。名前はグレンといいます。
冬になると椰子の実に穴を開けたお家に、細かくちぎった紙を一生懸命運び込んで眠ります。椰子の実の中は紙くずでパンパンです。きっと暖かいのでしょう。
シマリスにとっての椰子の実が、人間にとってはマンションのコンクリートの箱なのです。無機質で冷たい…。
そして、現在作られているマンションは新建材といわれる化学物質でできた材料をこの無機質で冷たい箱の中につめこんで出来ているのです。
シマリスの椰子の実に化学物質がぎっしり入っていたら…ぞっとします。
私はコンクリートの箱だからこそ、その中には人と環境にやさしい自然な素材を使いたいと思います。
これはけして贅沢なことではありません。コストも大きく変わらない…ではなぜ新建材ばかり使われるのでしょう。長年の工業製品をつくるメーカーの宣伝やエンドユーザーの認識違いや誤解によってここまで来てしまったのかもしれません。
日本には豊富な森があります。国産の杉は香り、肌触りとも住まいにマッチした素晴らしい素材です。また、森に植林された木を使ってあげることで山は整備され、山林災害を防ぐことにもなります。
もう一度本物の木の良さを多くの方々に知ってもらい、住まいの中に戻していきたいと思っています。